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DATE : 2024/04/18 (Thu)
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DATE : 2008/12/11 (Thu)
 住宅ローン業界のサブプライム・ローンをめぐる大混乱は誰もが知っている。これは悪いニュースだ。

 だが、これには別の側面もある。信用度の低い借り手に高い金利で融資するサブプライム市場は惨事に見舞われているが、銀行は、優良な不動産に投資する信頼できる投資家にお金を貸すことをやめてはいない。


サブプライム市場はいかにしてダメになったか

ロバート・キヨサキ 実際的な知識のある投資家は、不動産市場の暴落を恐れて震えているのではなく、サブプライム問題の大惨事がどのようにして起こり、どうすればそこから利益が得られるかを考えなければならない。この問題の原因をいくつか挙げてみよう:

1. 2001年の初め、株式市場の暴落を受け、連邦準備制度理事会(FRB)のアラン・グリーンスパン議長(当時)は短期金利を1%に引き下げた。それによって、株式市場が息を吹き返すかわりに、不動産市場が花開いた。

2. 例えば、一般の人々から401(k)の拠出金を集めていた人たち、つまり年金基金のファンドマネージャーたちは、株式市場や債券市場より高いリターンが必要だったため、ヘッジファンドやプライベート・エクイティ・ファンド、大手住宅ローン会社にお金を貸し始めた。

言い換えれば、あなたが老後のための蓄えを預けた人たちが、もっと高いリターンを得ようとして、リスクの高いベンチャーに投資するようになったということだ。

3. 中国や他の国々が、アメリカの国家債務や戦争、市民のライフスタイルなどにお金を出すようになった。海外の投資家たちは、私たちが投資をしたり、彼らの製品を買ったりするためのお金を貸してくれた。

4. これによって5つのタイプの愚かな投資家、あるいは洗練されていない投資家が登場し、彼らが不動産物件の価格を引き上げ、サブプライム・ローンのバブルとその後のバブル崩壊を生んだ。


「ユージュアル・サスペクツ(おなじみの容疑者たち)」

 この5つのタイプの投資家の典型的な例を以下に挙げよう(名前は変えているが、私が実際に会った人たちだ)。

・ジョン&サリー:初めての家を買ったカップル

 新婚のジョンとサリーは、低金利と緩和されたローン審査基準で、環境の悪い住宅地にある新築の家を高騰した価格で購入した。そして125%のローンを組み、将来的に得る収入の大部分を売り渡した。余った資金で彼らはプールを造り、新しい家具を買った。1年後、最初の子どもが誕生した頃、家の資産価値が下がった。

・ジョーイ&スージー:クレジットカード乱用者

 この人たちは、自分の家をATM(現金自動預け払い機)のように使う。ジョーとスージーはカードの返済に困るたびに、住宅ローンの借り換えをしてクレジットカードの返済をした。彼らは、短期の借金を返す代わりに生涯続く借金をしているのと同じだ。

 

・エド&メアリー:ヒナが巣立った親鳥たち

 ベビーブーム世代のエドとメアリーは、子どもがすでに家を出て大学に行っていた。余ったお金を使い、夫妻は投資目的で別荘を買った。自分たちの住む家を担保に別荘を買い、今では2つの住宅ローンの返済をしなければならない。2人は、自分の家は資産であり、不動産の価値は上がり続けると思い込んでいたが、これは間違いだ。

・ジャック&ジャニス:大きいことはいいことだ

 ジャックとジャニスは、自分たちの住む地域で起こった地価の高騰に驚き、自宅を売って、もっと高級な住宅地にもっと大きな家を買った。そして今、ふたりは自分たちの(あるいは近所の人たちと同じ)生活レベルを維持するために四苦八苦している。

・フレッド&フィリス:フリッパーズ(転売派)

 2人は新米の投資家で、不動産の転売こそが富への道だと信じていた。フレッドとフィリスは不動産市場の下降期を体験したことがなかった。不動産バブル以前、彼らはIT株のデイトレーディングをしていた。

 2003年、2人は不動産の「エキスパート」になった。不動産の価格は上がり続けると信じた彼らは、俗に「うそつき向けローン(liar loan)」と呼ばれる融資を提供する住宅ローンのブローカーを見つけ、それで10戸の物件を頭金ゼロで購入した。

 問題は、フレッドとフィリスが投資した開発プロジェクトはまだ竣工しておらず、工期の遅れが発生したことだ。10戸の住宅を売るわずらわしさを嫌った2人は完全に手を引き、今はそれぞれの職場に戻っている。


安物を高価な物に換えることはできない

 それでは不動産は悪い投資なのだろうか? もちろんそうではない。株式市場が暴落したからといって株式が悪い投資ではないのと同じだ。以上の例から浮かび上がってくるのは、大衆の愚かさと市場の狂気だ。

 実は、今は不動産投資家にとって最高の時代だ。現在、多くの市場で不動産価格は下がり続けている。おまけに金利は低い。つまり、サブプライム・ローンの問題は、売り手にとっては悪いニュースだが、買い手にとっては良いニュースなのだ。

 いつものように、政府が介入するべきだと主張する声も大きい。だがそこからは、強欲や愚かさ、浅はかさに対する法律をどのように可決・施行したらよいかという疑問が沸き起こってくる。現実問題として、サブプライム・ローンがなくなることはない。いつの時代もそうだが、信用力がない人、強欲な人や非常に愚かな人でも、借りる資格も返す能力もない借金をする方法は見つかるだろう。

 私の考えは間違っているだろうか? 今夜のテレビでも、サブプライム問題についてのニュースのすぐあとに、2009年までローンの返済をせずに今すぐ家具を買おうとマイホーム所有者に勧めるコマーシャルが流れた。これ以上、私が何か言う必要もないだろう。


自動車の接触事故か、列車の衝突事故か

 今年3月、アラン・グリーンスパン前FRB議長は、2007年に米国が景気後退に陥る可能性があるという警告を世界に発した。サブプライム問題の混乱が今後も拡大し、信用が枯渇すれば、これは現実のものになるかもしれない。この景気後退が、終わりの見えないイラク戦争や国家債務、ベビーブーム世代の大量退職の問題と重なれば、アメリカと世界の経済は深刻な打撃を受けるだろう。

 だから皆さんには、自分の経済状態を改善し、できるだけたくさんの資金をできるだけ早く確保することをお勧めする。良いニュースは、お買い得物件が大量に出回ってくるだろうということだ。現金があれば、本物の資産や、宝石や美術品、高級車、大きな家など、見栄えのいい負債を割安価格で買えるだろう。

 残念ながら、景気後退に入って最も大きな打撃を受けるのは、金持ちではなく、金持ちになりたがっている人や貧乏な人だ。貧乏な人は、たとえ勤勉で悪くない信用度といくらかの現金を持っていても、これまで以上にローンを利用することが難しくなるだろう。借金ばかりたくさんある金持ちになりたがっている人は、家や派手な宝飾品を、破産管財品の競売、中古品店、ガレージセール、不用品交換会などに寄付することになるだろう。

 サブプライム問題の大混乱は、経済という名の駐車場で起こった接触事故に過ぎないと言うエキスパートやコメンテーターは多い。その一方で、これは危険を知らせる衝突寸前の列車のヘッドライトだと言う者もいる。どちらにしても、割安の商品を探す投資家にとっては、本物の富を増やすまたとないチャンスになるだろう。

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DATE : 2008/12/05 (Fri)
2001年9月11日、ワールドトレードセンターのツインタワーが崩壊したのを境に世界が大きく変わったのは、誰もが認めるところだ。

 今年、9月11日の前夜、政府系住宅金融機関のファニーメイ(連邦住宅抵当金庫)とフレディーマック(連邦住宅金融抵当金庫)というツインタワーが崩壊した。さらに9月15日、リーマン・ブラザーズとメリルリンチが消滅した。米国の保険最大手のAIGを勘定に入れれば、これは、本当はトリプルタワーの崩壊だったということになる。

 これから数年のうちに、最も大きなツインタワーが崩壊する。それは、社会保障制度と高齢者医療保険制度(メディケア)という名のツインタワーだ。この2つの高層ビルは、いまにも崩れそうな気配すら見えている。私たち市民や国家、世界は、このようなタワーの倒壊にあと何回遭遇すれば、地球規模の金融システムが非常におかしなことになっていることを認めるのだろうか。みんなが目を覚ますのに、この先さらにどれだけの犠牲が必要なのだろうか。

政府には解決できない

ロバート・キヨサキ 最大の問題は、多くのアメリカ人が、今年の大統領選の候補であるバラク・オバマやジョン・マケインが金融システムを建て直してくれると期待していることだと、私は考えている。私たちはいつから、自分の経済的な自立を政治家に託すほど、お金に関して弱くなったのだろうか。合衆国憲法のどこかに、政府は私たちのお金に関する問題を解決しなければならないとでも書いてあるのだろうか。

 経済的に生き延びるのに政治的指導者をあてにしている人が、世界中にこれほど多いのが不思議でならない。ほとんどの人は、富やお金、住宅ローンの返済保証を約束する候補者なら、誰にでも投票するようにさえ見える。

 私たちは、どちらの大統領候補にも解決できない問題の真っ只中にいる。それは、学校に総合的なファイナンシャル教育が欠けているという問題だ。政界や金融界の指導者たちが犯した経済的な大失敗を説明する理由は、これをおいて他にはない。借金にどっぷり漬かった消費者がこれだけ多いのも、政府が何らかの即効性のある対応をしてくれると期待する人が何百万もいるのも、同じ理由によるものだ。


借金に沈む

 数ヶ月前、ハワイに住む友人の1人が、ツインモーター搭載の真新しいパワーボートを買わないかともちかけてきた。2007年後半、彼は新品をおよそ$85,000で買った。自分の家の価値が上がったら、住宅ローンを借り替えて、差額をこのボートの支払いに充てるつもりだったのだ。

 だが、追加の融資を受けることはできず、自分のボートを買ってくれないかと私に電話をしてきたのだった。彼は、ボートのローンの支払いを引き継いでくれさえすればいいと言った。私はこの話には乗らず、結局、銀行が彼のボートを引き上げていった。その後のことだ。彼の妻が私に電話してきて、夫は今では住宅ローンの支払いにも困っていると明かした。彼が、ボートのローンと同じように、マイホームのローンの支払いにまで再融資を当て込んでいたのは間違いない。

 この友人の話をしたのは、それが、オバマやマケインが直面している問題をよく表しているからだ。ファイナンシャル教育のない人がほとんどで、お金に関する常識もどんどんなくなってきている。この国のビジネスリーダーたちはみんな、お金に関しては同じ教育しか受けていないに違いない。


皮肉な現実

 アメリカの資本主義というタワーが崩壊しつつある理由について知りたい人は、G・エドワード・グリフィン著「マネーを生みだす怪物――連邦準備制度という壮大な詐欺システム」を読むとよい。やさしい本ではないが、一度読み始めたらやめられなくなる。これはまさに、中流階級の経済的な「殺人」という、推理小説とでもいうべき作品だ。

 この本から学べる非常に重要な教えは、政治的指導者たちが一般大衆をあざむくために、お金に関して都合のよい解釈をいかに利用しているかということだ。非常に裕福な人々はこのやり方で私たちの愛国心に訴え、私たちから合法的にお金を盗んでいる。指導者たちの「我々がファニーメイやフレディーマックを救済するのは、アメリカ市民を守るためだ」という言葉は、本当は「我々の金持ちの友人たちを守るためだ」ということを意味している。

 銀行家や政治家が、星条旗を振りかざして愛国歌「ヤンキードゥードゥル」を歌いだすだけで、大衆は涙で目を潤ませ、合法化された盗人たちにさらなる忠誠を誓う。たしかに知らぬが仏ではある。だが知らないということは高くつくし、私たちの自由が犠牲になる。


失われゆく自由

 救済策にもいろいろある。紙幣をさらに印刷するような救済方法は、いっそうのインフレにつながる。そうなれば、貧しい人々や中流階級の生活は、守られるどころか物価高でますます苦しくなる。もう1つは、裕福で無能な友人たちを保護するような救済策だ。あなたや私がビジネスで失敗したら、それは失敗でしかない。嘘をついて失敗したら、刑務所行きになる。だが金持ちで政界にコネがあれば、無能でも政府が救済して守ってくれる。

 自由を守るために海兵隊の一員としてベトナム戦争を戦った私としては、その自由が銀行家や政治家に盗まれていくのは見るに忍びないものがある。残念ながら、「国有化」と「社会主義化」という言葉の違いがわかっているアメリカ人はほとんどいない。「社会主義化する」とは、私たち個々の力を支配者に差し出してしまうことであり、政府の規制をほとんど受けない自由な体制からは程遠い。そのことによって、市民の力はますます弱まり、より強い権力に守ってもらわなければならなくなる……その権力こそが、私たちをこの混乱の渦に投げ込んだ張本人だというのに……。

 一言で言えば、ファニーメイやフレディーマック、メリルリンチ、リーマン・ブラザーズ、AIGのタワーが崩壊したとき、地に落ちたのはお金だけではなかった。この国が礎(いしずえ)としている「自由」、世界中が欲してやまない「自由」がいま、失われつつある。

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